7月12日(金)…29週0日
また深夜に調子を崩し、限界数値のウテメリンをまたほんの少しだけ上げ なんとか朝まで持ちこたえました。
ほぼ毎日夜になると調子を崩していたので申し訳ないと看護婦さんに告げると
「人間も動物ですからね。陣痛というのは夜起こるようになっているんですよ^-^当たり前なんですよ」
と慰めれくれました。
朝一番にぱたやんが駆けつけてくれて退院手続き、荷物の整理などをてきぱきとこなしてくれました。
やっぱり頼もしいなぁ…
昼過ぎに転院先まで送ってくれる救急車が到着し、同室の皆さんや看護婦さんたちに
「頑張って!」と見守られながらストレッチャー(車がついたベッド)に乗せられて病院を出発しました。
入院した1日からしばらく振りに見た外の景色は、知らない間に夏になっていて とても暑かったです…
小さな窓から見える綺麗な青空を見ながら、「これからどうなるんだろう」ってぼんやり考えてました。
救急車はもちろん速いんだけど、ゆらゆらと上下に揺れる感じと、ブレーキングの度に頭に血が上ることに
気分がすこしずつ悪くなっていきました。
転院先に到着して最初に入った部屋…そこは「分娩室」。
分娩台と上に手術の時に使うようなライトが取り付けられたものものしい部屋…
たくさんのスタッフに囲まれて ストレッチャーから直接分娩台の上に乗せられ、
「わ、私、もうそこまで来ちゃってるの!?」と半分パニックになりました。
でもただの診察の為だけだったらしくて…ちょっと安心…。
NST装置をつけられ、同時に内診が始まりました。
隣に若い看護婦さんがやってきて、人懐こい笑顔で
「はじめまして。貴女の担当になりましたUと申します。よろしくお願いします^-^」と挨拶してくれました。
あぁ、優しそうな人だなぁ…ととても安心したのを覚えています。
そのまま超音波検査も終え、
車椅子に乗せられて病室が空くまで…と通されたのが隣の「陣痛室」。
簡単に言うと妊婦さんが初期陣痛から本格的お産が始まるまでの待機部屋です。
となりのベッドでも陣痛の始まった妊婦さんが苦しそうにうめいています。
しばらく横になっていると、救急車で悪くなっていた気分がますます悪くなってきました。
めまい、吐き気だけでなくなんだか気管が水っぽい感じで苦しくなってきた…
思わずナースコールすると、胸部レントゲンを撮ろうということになり 首長竜にも似た
大きな機械が私の隣まで運ばれてきました。
話を聞くと、マグネゾールの長期投薬の副作用として肺水腫(肺に水がたまり呼吸困難が起こる)
を引き起こすことがあるらしくて それを懸念しての検査だったそう。
しばらくたって車椅子で病室に連れて行ってもらったときには元からの副作用と気分の悪さがあいまって
意識が朦朧としていて、出迎えてくれた同室の方と目をあわせることもできなくなっていました。
こちらの病院の主治医の先生がやってきて
「前の病院ではお手洗いまで歩いていたそうですが、ここでは絶対安静で頑張ってみましょうね」
と言われました。
やっと落ち着いて二人きりになってぱたやんと話をすると、
主治医の先生がぱたやんに言ったらしい。
「奥さんが今どういう状況か、理解してる?」
そのあまりの深刻な表情に、胸がしめつけられたらしいです。
と同時に「前の病院は歩かせすぎていた。それでいて点滴が最大量だから辛いんだ」と話していたそうな。
たった5mそこらでも歩き過ぎだったんだ…?
確かに、筋弛緩剤を入れてからの意識朦朧とした状態の歩行はかなり辛かったです。
この病院ではその状態では一人で歩かせてはくれません。
絶対安静…それは出歩くのは禁止であることはもちろん、食事、お手洗い、身支度も全て寝たままのことです。
食事の際、横になったまま飲むお味噌汁などはどうしても空気ごと飲み込んでしまい、お腹が張ってきます。
起き上がることができないので、食事の際に同室のみんなの話の輪に入ることも出来ません。
枕に底上げをあて、口元をタオルで覆い、副作用で震えた手でご飯を食べる 情けない姿をさらしてまで
話に入ろうとは到底思えませんでした。
本当に辛かったのはお手洗いです。
平べったい便器をお尻の下に敷いて用を足してくださいと説明をされたものの、
6人部屋だったので、隣の人とのスペースは薄いカーテンで区切られただけの2m幅くらいのスペース…
隣の音なんか筒抜けです。
薄いカーテンで区切られただけのスペースで用を足すなんて恥ずかしい…患者さんだけでなく
お見舞いの旦那さん達もすぐそばにいます。足音はひっきりなし…
ましてや座って用を足すことしかやったことのない人間が、いきなり出来る訳がありません。
トイレがしたくってしたくって、チャレンジしてはみるのですが 全然出てくれません。
大きなお腹に圧迫されて膀胱が小さくなってしまっている妊婦にとっては 尿が出ないのは苦痛…
最も苦しい上向き、しかも便器を敷いているのでお尻が上になった苦しい姿勢を保たなければなりません。
それでも出ません。苦痛やら恥ずかしさで、涙が出てきて止まりませんでした。
あまりにも苦しいので看護婦さんに泣きついたところ、「お手洗いの時だけベッドに座ってもいい」許可を特別にもらいました。
座ってみると、あとは恥ずかしさだけを乗り越えれば…と時間をかけて何とか出来るようになりました。
それでも、用を足してる時に看護婦さんがいきなりカーテンを開けて入ってきたりして 恥ずかしい思いをしました(- -*;
横になりながら、おばぁちゃんの介護時代を思い出していました。
尿が上手くだせない症状もあったので、私と母が数時間毎にカテーテル(管)を尿管に通して排出させるのですが、
夜担当の私は1時間毎に起こされ、あまりに眠かった時、
「おむつしてるんだからおむつに出してよ…」と言った事があったのです。
横になって用を足すのが こんなに苦痛だったなんて。「おしっこー!」って叫んでたのも今なら分かります。
おばぁちゃん、本当にごめんなさい…